
倉庫のバイトは管理されてナンボのところはあるけど、自由に行動できるバイトもいる。
バイトのスキルは三段階に分かれる。
バイトリーダーとかそういう肩書上のスキルとは、全く関係がない。
第一段階は、言われた作業をこなす段階。
第二段階は、自分から仕事を提案する段階。
第三段階は、作業を社員から丸投げされる段階。
第二段階になると、休憩やシフト変更などが自由になりやすくなる。
大事なのは自分から能動的に動いているかどうかで、言われるがままにバイトリーダーになっても第一段階を抜け出せない。
倉庫でバイトを始めたばかりの頃は、右も左もわからない状態だと思う。
朝礼などで担当社員から説明を受けて、ベテランバイトなどに教わりながら、ピッキングや梱包などの作業をこなしているだろう。
これが第一段階で、社員やベテランバイトからの指示を待って、仕事が始まる。
「倉庫のバイトはどんな仕事ですか?」
といったウェブでのQ&Aで答えられているのは、ほとんどがこの段階。
言われた事をやるだけなので、
倉庫はきつい、
重いものを持って腰をいためる、
夏は暑いし冬は寒いしきつい、
など、倉庫はきつい・つらいといった回答のオンパレードになる。
この段階のバイトのことは社員もよく見ていて、かったるそうに仕事をしていたり、見えない(とバイトが思ってるだけなのだが)ところでサボっていたり、手を抜いて作業をしていたりすれば、そのバイトには、雇っている限りはずっとその仕事をさせようと思っている。
現場作業はハンディー端末で進捗が管理されていたり、今までのベテランバイトと作業の進みを比較したり、また、この人数ならここまで進むはず、といった日頃の実績から、直接見ていなくても進み具合を判断できる。
データ上の進みが悪かったり、いるべき時間帯にいなかったり、新人を入れた途端、異常に進捗が遅れたりして、サボってるバイトは実はすぐに分かる。
現場はバイトの採用に口を出せないことが多く、ハッキリ言って役に立たないバイトが来てしまったら、できるだけサッサと辞めてもらうように仕事を割り振る。
それで、次は頼りになるバイトが入ってくることを祈りながら待つ。
こういう事を現場でしてしまうから、募集広告を出しても人が集まらなくなってしまうのだけど。
ともかく、言われたことしかできないのが、第一段階。
第二段階になると、自分から作業を引き受けるようになる。
込み入ったピッキングや、面倒な客先への特殊な梱包、大幅な在庫移動など、管理する側の社員からすると早く片付けたい仕事を、率先して引き受けてくれる。
言われた作業をやっていた頃に、自分なりに効率の良い作業方法を考えていた人は、第二段階に移行するのが早い。
言われた作業だけをやる状態から早く抜け出すには、その仕事をできるだけ人に教えるといい。
しっかり理解していないと人には教えられないし、教える中で今までの無駄な動きが見えてくる。
ちゃんと教えられるようになれば、作業者から教える人へ評価が変わる。
面倒な仕事は、社員も細かく見ていられない。なので、終了時間が大幅にずれなければ特に細かい指示も出されない。
何回かこういった面倒な仕事を引き受けてキッチリ納めれば、面倒な仕事の最中に少しぐらい休憩を多めに取っても、何も言われなくなる。
多めの休憩中に喫煙所などでばったり社員に出くわしても、仕事の打ち合わせの話などされるだけで、早く戻れなどとは言われない。
この段階になると、一般作業者よりはかなり自由に行動できる。
そして、引き受けた仕事を他のバイトを使ってこなせるようになると、自由行動時間はさらにたくさん取れるようになる。
ここまでを、自分から提案していけるかが大事。
言われるがままにバイトリーダーなどになっても、実質は第一段階にとどまっていることになる。
他のバイトに作業を振れるようになったら、第三段階に入る。
この段階は会社によっては実現できなかったり、現場によっても違ってくるかもしれない。
自分の会社で第三段階に突入できるか確認する方法は、
「その仕事やっておくんで、目標の数字だけください」
と担当社員に聞いてみるといい。
「そういうわけにはいかないよ」
となれば実現できない。
「何アイテムを、何時までに終わらせてくれる?」
となれば、何回か引き受けると丸投げされるようになる。
仕事を丸投げというと悪い印象があるかもしれないけど、細かく時間で縛られたくないタイプには、これほどありがたいことはない。
僕がいるところは社員が少ないため、向こう一週間分くらいの仕事を振られたきり、具体的な指示はほとんどない状態が一年近く続いている。
朝の出勤時間も好きなように決めている。定時は変わらないけど、残業したければ早めに出勤し、用事があれば少し遅れて出勤している。
お昼の時間も好きなように決めている。人がいない時間帯にいったり、倉庫内の空いてる部屋を使ったり、快適に休憩時間を過ごしている。
段取りは全て自分で決めて、必要な人員や備品はその都度社員に手配してもらっている。
仕事が終わらなかったり不備があれば、当然何らかの形で責任は取る。そうならないように、早めに人やモノの手配をしている。
管理業務ができるアルバイト、というのが、倉庫業では一番ラクで稼げる立場だと思う。
ボーナスなどを含めた年収ベースでは社員の方が数字は高いけど、一年間の拘束時間を考えると社員には戻れない。
倉庫では、やっかい事を引き受けて独り立ちした方が、自由になれる。